より良い未来の作り方のヒントは伊勢神宮にあった

日本全国にあるすべての神社の頂点に立っている伊勢神宮では、20年に一度、式年遷宮(しきねんせんぐう)と呼ばれる儀式が行われています。
式年遷宮とは、わかりやすく言うと古い社殿から新しい社殿へ御神体を遷すことを指します。
そうなんです、伊勢神宮は20年周期で大々的に造り変えが行われていて、その紡いできた歴史は1,300年に及んでいるとか。
なぜこんなことが行われているのかというと常に新しく清浄であることを尊ぶ、常若(とこわか)という思想が根底に流れているから、みたいですよ。
確かに神社である以上、大きなカテゴリー括ればそれは建物ですから、経年変化・劣化による老朽化が進めば崩壊してしまう可能性があるので、大規模な修繕は必要不可欠と言えます。
ただそうはいっても、全部を新しく作りなおすなんて、途方もない規模の作業ですよね。。
また、造営用の木材(檜)は、伊勢神宮の境内地として管理されている森林から調達しており、しっかりと自給自足のサイクルが出来上がっているのも素晴らしい。
部材の中には直径1メートルの檜が使われることもあり、このサイズに育つまでにはおよそ200年かかるそうで、そのための苗木を植える作業も欠かさず行われています。
いわゆる循環型経済 / サーキュラーエコノミー的な営みが、私たちが生まれるはるか昔からずっと繰り返されてきていることに少し感動を覚えつつ、改めて大事なことだよなと感慨深くもあって。
おそらく昔の人たちは、今でいうサステナブルな生活をごく当たり前にしていたと思うんですよ。
ものを丁寧に長く使う、壊れてしまったら直してまた使う、できるだけ持ち物は少なく余計なものは買わない、そうでもしないと世界はゴミで溢れかえり、やがて自分たちの首を絞めることになる。
それをなんとなしの肌感覚でわかっていたんじゃないかと。
でなければ1,000年以上も遷宮の行事って続いていないのではないでしょうか。
『循環させる・共に生きる』という概念は大切で失ってはならないんだと、大勢の人が考えていたからこそ、現代にまでその古き良き精神性は引き継がれているわけですよね。


計らずとも脈々と受け継がれてきていること・続いていることって、きっとなんらかの意味がある。そう思います。
今の社会にあってまさに必要な考え方ですよね。
限りある資源をどのように活かしていくのか、自然環境をどのように維持・発展させていくのか、私たちの生活をより豊かにするにはどうすればいいのか。
その答えをとうの昔に日本人は理解していたわけです。
先人の知恵に現代の優れたテクノロジーを掛け合わせれば、素晴らしい未来がきっと待っているはずです。
日本の伝統的な暮らしや考え方を改めて見直せば、循環型社会の実現に向けた大きなヒントが眠っているかもしれません。
キーワードは『再生』ですかね。
古くなったもの、壊れかけのもの、歴史あるもの、人が生きるうえで必要不可欠なものを、自分たちの手で再び生まれ変わらせ、未来への恒久資産として受け継いでいく。
何百年後かの自分たちの子孫に感謝されるような、アクションを行なっていきたいものです。