多拠点生活のススメ
コロナ禍という時勢もあってか、いま多拠点生活が注目を集めているようです。
一つの住まいで一生を終えるのではなく、二つ以上の生活拠点をもつことで例えば、平日は都心部の住宅で暮らし、週末は田舎の平屋でのんびり過ごすというライフスタイルを確立することができます。
拠点を複数もつことで様々な環境の中で生活できるので、刺激的な週末を過ごせるでしょうし、都会での生活に嫌気がさした時や家族とケンカした時には、ある種の『逃げ場』として、もう一つの拠点が力を発揮することになると思います。
ただ、一通りなんでも揃う都会での生活と比較して、田舎での暮らしは常に何かが足りません。
あやめヶ原がある北軽井沢を例にとると、歩いて行ける距離にスーパーがありませんし、心身を鍛えて大いにリフレッシュすることのできるスポーツジムもありませんし、気軽にランチを食べたりカフェやお酒をみんなでガヤガヤ楽しめる場所もそうそうありません。
どうでしょうか?便利なモノやコトがない生活は、想像するだけでもなかなかエグいですよね。
『平日は都心部、週末は田舎』というライフスタイルであれば、田舎に行くのは土日の二日だけですし耐えられるかもしれませんが、それでも当たり前にあるものがないという住環境は、人によっては大きなストレスを感じるでしょう。
また、多くの拠点を構えたとしても、こちらの記事に書いたように現実にそこに頻繁に足を運ぶのか?といった問題も出てくると思います。
せっかく自宅以外のもう一つの居場所を作ったのに、移動時間や家賃・交通費などのコスト、そして生活の利便性を考慮すると、行かなくなってしまうのはある意味当然なのかもしれません。
それでも多拠点生活を進めたいワケ
ただ、生活拠点を複数持つことは、そのまま生き方の多様化に繋がってくると思うので、あくまで推進したくてですね。
プライベートは二の次で、仕事一筋でバリバリ働くことが昔は是とされてきましたが、そんんな時代は今や終焉を迎えつつあります。
仕事以外の時間を充実させることで人間関係の幅を広げ、本業とは別の副業をこなし、多くのスキルを身に付けることが個人個人の自立と幸せに繋がるのではないかと考えられています。国も大手を振って副業・兼業を推進してますしね。
解剖学者の養老孟司さんも「都会の人は田舎へ行き、田舎の人は都会へ行った方がいい」と二住居制を認める『参勤交代制度』を推進しています。都会では味わえないものが田舎にはありますし、逆もまた然り。
人が多拠点生活を考え始めるのは、「いつも同じ場所にいると飽きるし、居場所は複数あった方が楽しい」という遊び感覚的な理由もあるかもしれませんが、突き詰めれば「なににも縛られずに、もっと自由に自分らしく生きたいから」ですよね。
インターネットの目まぐるしい発展により、今やパソコン一つあれば買い物に事欠くことはないですし、遠方にいる人と顔を付き合わせてコミュニケーションを取ることもできるので、田舎にいたとしても社会的な孤立を感じることは少ないでしょう。
日本は幸いなことに交通網がしっかりと整備されていて、都心と田舎は割と自由に行き来できるので、一人ひとりが「どのように生きたいか」「どうありたいのか」をとことん追求できる地盤は整っていると言えます。
人はそれぞれ皆違っていて、色々な生き方をして良いわけですし、そんな人たちを受け入れようと、時代も寛容になってきています。
『一つの場所に留まり続けるのではなく、複数の拠点を移動し、そこでの生活を自由気ままに楽しみ、新しい自分に出会う』そんな流動性の高い社会が、これからの未来を作っていくのではないでしょうか。
日本の先行きは明るいと信じています。