先駆植物って何?例を交えて徹底解説!

先駆植物という言葉をご存じでしょうか?
先駆植物とは、裸地という元々草木が一本もなかったところ(火山の噴火で岩石に覆われた場所など)に最初に定着し、森を形成していくその地の初めての植物のことをさします。
初めてその土地を切り拓いていくことから、パイオニア植物とも呼ばれています。
この生命力があってバイタリティ溢れる先駆植物ですが、具体的にはどのようなものがあるのでしょうか。
今回は、先駆植物の具体的な例や、役割・特徴などについて深堀していきます。
植物も我々と同じ”生命”ですから、先駆植物から学ぶところもあると思いますよ。
早速みていきましょう。
先駆植物の具体例
先駆植物の例を早速みていきます。
- アカマツ
- ネムノキ
- シラカバ
- ススキ
- イタドリ
- ヌルデ
- アカメシガワ
- ヤシャブシ
- ハンノキ
などなど、、耳にしたことがある植物もあると思います。
毎日何気なく見ているその植物が長い歴史を辿っていくと、先駆植物として初めてその地に根付いたものかもしれません。
先駆植物は「草本」であることが多いです。
草本とは木にならない植物のことで樹木のように大きな幹を持たないものを差します。
この対語に「木本」という言葉もありますが、ヤシャブシやハンノキなどは代表的な木本の先駆植物です。
先駆植物の役割や特徴
先駆植物はどのような役割があるかもあわせてチェックしておきましょう。
上述の通り、先駆植物は本来植物が育つ環境ではなかったところに年月をかけて遷移していくことで、森林を形成していきます。
遷移の過程
例えば火山噴火で溶岩が流れ出した場所をイメージしてみましょう。
高温の溶岩もいずれは温度が下がり、やがて大きな岩石となりその場所を覆ってしまいます。
水分も養分もないところから、森林を形成していくのは想像できませんよね。
ですが岩石だらけだったとしても、時間経過でコケや地衣類という菌は発生します。
これらは空気中の水分や太陽光だけで成長環境は十分だからです。
ここから1年生植物や多年生植物が徐々に発達し、乾燥に強い低木ができ、最終的には高木林を形成します。
先駆植物の役割
先駆植物は、わずかなきっかけ(コケや地衣類)から、最終的には大きな森林を作る生命力も持っています。
また厳しい環境でも生き延びることができるという特徴も持っています。
ススキなどもそうですが、地上に出ている部分が枯れてしまったりしても地下の茎は残るので、また次の年になるとまたしっかり生えてきます。
また先ほどの例で火山灰や溶岩が流れ出た岩場だったとしても、植物の根が岩石の風化を誘発するため、どんどん植物にとって都合の良い環境に変えていったりもします。
この圧倒的な生命力や環境を徐々に植物に有利な状況にするというのは素晴らしいですし、栽培の時などに活かせそうですよね。
栽培に活かすために
果樹の有機栽培を行うとき、鍵を握っているのは土づくりです。
一気に堆肥などで人工的に短期間で用意する土ではなく、草本を使って長い時間をかけて植物が育ちやすい環境にしていくことで質の良い土ができ、そこにはクオリティの高い果樹が育つようになります。
岩石の風化をさせたり、植物がより育ちやすい環境を自然に構築してくれる先駆植物はまさに有機栽培をしていく際にはなくてはならないものでしょう。
草本を使って土づくりをする場合は、害虫の発生などデメリットもあるため、定期的に草刈りをするなどでメンテナンスをする必要はあります。
ただ、地上の部分を刈っても地下の茎の部分はしっかり生命力を持っていて、また生えてくるので心配はいりませんよ。
まとめ
先駆植物の例を踏まえて、その役割や特徴をみてきました。
先駆植物と聞くと聞き馴染みがあまりありませんが、天然の植林活動という意味で大事な役割を担っていますし、肥沃な地を作るので作物を作る上でも欠かせない存在です。
山や森を歩くと様々な草木が目に入るかもしれません。もしかしたらそれは先駆植物かもしれませんね。