【もったいない精神の重要性】資源を資本に変える
2004年に、ノーベル平和賞を受賞したケニア出身のワンガリ・ワータイさんによって世界的に広まった『もったいない(MOTTAINAI)』という言葉。
Reduce(ゴミの量を減らす)、Reuse(捨てずに繰り返し使う)、Recycle(捨てずに再度資源として使う)のいわゆる3Rに加えて、美しい資源である地球に向けたRespect(尊敬の念)の意味も含まれているこの言葉、とても素敵ですよね。
『もったいない』は昔から日本人に馴染み深く、子どもの頃、食事を残そうものなら(特にお米粒)両親や祖父母から「農家の人が一生懸命作ってくれたものを残すなんてバチが当たるよ、もったいないからちゃんと食べなさい」と、誰しもが一度は言われたことがあるはずで、もはや日本人の精神的な基盤に「もったいない」は深く根付いているのではないでしょうか。
面白いのは、もったいない精神が今から800年以上前の室町時代から言われ続けてきたこと。
古来より使い古された道具には魂が宿ると考えられており、それらは九十九(つくも)神と呼ばれ、ものを大切に扱わないと化けて悪さをするとされていたそうです。
と、このように、日本人がものに限らずお金や食事、電気、ガス、水道などを限りある資源と認識し、なるべく無駄にせずに質素に慎ましく生きていく様は、先人より脈々と受け継がれてきていると言えます。
いま私はあやめヶ原をはじめ、北軽井沢の現状を非常にもったいないと感じていて、これら地域資源をどのように活かし、そして守っていくかを考えているのですが、それもきっとずっと昔の祖先から遺伝子レベルで培われてきた精神性なんだと思っています。
今あるものを価値あるものに変える
北軽井沢は昭和初期より避暑地・別荘地としてめざましく発展し、賑わいをみせていたのですが、高齢化や地域が抱える様々な複雑な事情と相まって、ここ2〜30年で町全体の人口減少が顕著で、耕作放棄地や空き家がだいぶ目立つようになってきています。
家は人が住まないと朽ちていくスピードが格段に上がるのは有名な話ですよね。
換気をして空気を循環させないと家はカビの温床になりますし、給水設備も使わないと容易に虫の侵入を許してしまうし、野生動物が住みつけば不衛生極まりない状態になり、劣化が激しくなります。
別荘も立派な歴史ある地域資源ですから、誰も住んでいないボロボロのそれをみるのは忍びない気持ちがありますし、別荘は森の中にあることが多いので、放置していたら景観を損ねると同時に、自然環境に悪い影響を及ぼすんじゃないかと心配なんですね。
せっかく建てた別荘がもったいないし、放っておけば自然豊かで緑美しい森が維持できなくなってしまうのももったいない。
東洋大学の山崎義人教授が提唱しているように、地域資源を地域資本に変えていかなければならないと強く感じています。
身近にずっとあるものや、当たり前すぎてそのありがたみを感じられないものに改めて目を向けて、そこに価値を見出し、心ある人が楽しく集まれる仕組みを作り地域経済を回していくことが大切だと思っていて。
田舎って都会にはないものが沢山ありますが、それはあくまで資源にすぎなくて、その資源を求めている人に役立つようにカスタマイズしていかなければなりません。
地域の『もったいない』を価値あるものに変えていき、人の手で自然環境を守り、自然とともに生きていく。
本来の人間らしい生き方だと思います。