田舎での生活の難しさの意外な盲点
田舎での生活には豊かな自然や人とのつながりといった魅力がある一方で、当然難しさもあります。
よくあるのが、仕事の選択肢が狭まるだとか、交通インフラが少ないだとか、あとは人間関係が濃い(実際はそうでもありません、北軽は特に)なんてものもありますね。
ただそれ以外にも重要な点として、個人的に『時間の流れ』も難しさの一つなのかなと思うんです。
田舎と都会の時間の流れ
田舎での生活の難しさを多角的に捉えると、「時間の流れ」という概念が際立ちます。
田舎は、都会と比べて時間の感覚がゆったりしているのは事実としてあり、それがかえって「停滞」と感じる場合があります。
都会から来る方達は、この時間感覚に慣れるまで時間がかかると言っていい。
特に、結果を急ぎがちな人や、効率性を求める現代的な価値観に慣れた人にとっては、地域のペースの遅さがジレンマを生むことがあります。
一方で、時間を「じっくり使う」という価値観に慣れると、逆にその環境を最大限に活用できる可能性も秘めているので、価値観が変わったり、自身の人生にとって良い効果を生むことも十分あり得ます。
田舎暮らしに必須な時間の捉え方
田舎での「時間をじっくり使う」という価値観について深掘りすると、それは単なる「ゆっくり暮らす」や「のんびりする」という話ではありません。
むしろ、時間の流れそのものとどう向き合い、それをどう活用していくかという、より根源的なテーマに関わることだと思います。
田舎では、物事が進むペースが都会よりもゆったりしていることが多いですが、それをただ「遅い」と感じるのか、「深く考えたり丁寧に行動するチャンス」と捉えるのかで、暮らしの質や満足感が大きく変わるということですね。
例えば、都会では毎日が時間との戦いで、朝の通勤ラッシュに始まり、仕事の締め切りやタスクをこなすことに追われ、終わらないメールや通知に気を取られることが多いでしょう。
効率を追求するあまり、一日の中でじっくりと腰を据えて考えたり、何かを「味わう」ような時間は後回しにされがちです。
しかし田舎では、たとえば庭で育てた野菜を収穫し、じっくりと料理をする時間が自然に生まれることがあります。
その過程では、ただ野菜を食材として扱うだけでなく、畑の土の匂いや収穫時の達成感、旬の食材ならではの味わいを感じる余裕が生まれます。これが「じっくりと時間を使う」ということの一例なのかなと。
都会では「時間を削って便利さを得る」という選択が普通ですが、田舎では「手間を楽しみ、時間そのものに価値を見出す」という生き方が自然と求められます。
また、田舎での人間関係にもこの価値観が反映される場面があるんですよね。
都会での付き合いは短時間で済む効率的なコミュニケーションが多く、ビジネスライクで合理的な会話が重視されることが多いかもしれませんが田舎では、たとえ小さな頼みごとをするだけでも、時間をかけて「話し込む」ことが日常の一部です。
野菜をお裾分けする際にただ手渡して終わりではなく、最近の天気の話や家庭の近況、さらに地域全体のことまで、長々と話し込むことがよくあり、一見すると「無駄」と思えるような時間ですが、そこには「人間関係をじっくり築く」という重要な意味があります。
この積み重ねが、いざというときに助け合える信頼関係につながり、安心感のある暮らしを生むわけです。
さらに言えば、「じっくり時間を使う」という価値観は、仕事や生産活動においても特別な意味を持ちます。
例えば、田舎の工芸品を作る職人さんを思い浮かべてみてください。
都会的な大量生産の流れに乗るのではなく、丁寧に手作業で一つひとつを作り上げるプロセスには、時間をかけることそのものが商品の価値につながっています。
山間部で取れた素材を使い、仕込みに何日もかかるような工程を経て、初めて完成する一つの作品。その製品が持つ独特の温かみや個性は、速さではなく「じっくり」という時間の使い方が生み出しているものです。
それに、田舎での時間の感覚は、自然との共生によっても深まるもので、農作業一つとってもそうですよね。
土作りから収穫までの一連の流れはどうしても季節に左右され、速めたり遅めたりすることはできません。そのサイクルの中では、待つことや、じっと状況を観察することが大事になります。自然に寄り添いながら、自分のペースを調整していく力が養われます。
この「時間の流れをコントロールしようとするのではなく、調和する」という考え方が、田舎暮らしにおける時間の使い方の核心と言えるでしょう。
まとめ
結局のところ田舎での時間の流れ、時間を「じっくり使う」という考えは「何かを効率的に終わらせるための時間」ではなく、「自分自身の感覚や生活全体を豊かにするための時間」として捉えるということです。
「時間=お金」という考え方ではなく、「時間=人生そのもの」として味わう意識とでもいえばいいでしょうか。
この感覚に気づき、それを楽しめるようになると、田舎での生活はただのスローライフ以上に、深い満足感と豊かさをもたらしてくれると思います。