地方創生が失敗する二つの理由
地方創生はなかなかに厳しい現状があります。
東京一極集中の流れをどうにかして食い止めなければならないと、国は様々な施策を打ち、何兆円というお金を地方に投じていますが、結果として東京への人の流れを変えることは叶いませんでした。
むしろ東京の人口は増えているようです。
地域活性化といえば響きは良いですが、実際問題そのほとんどは上手くいってないと思います。
若者が町から居なくなり、高齢者が増え続ける地方の現状は誰がどう見ても『マズイ』と感じるもので、『なんとかしないと』という危機感を皆募らせますが、いざ行動に移すとなると途端に動きが鈍くなる。
鈍くなるのはなぜかと言えば、やはり圧倒的に人的リソースが欠けているからで、加えて顧客の存在を無視しているからでしょう。
誰が(Who)、なにを(What)、どのように(How)やるのか、といった地域創生を成功させる最低限の戦略を、その地に住む人が描いてないから途中で空中分解してしまうわけです。
当然のことながら地域創生にはお金がかかりますので、国の交付金を頼るのが常道なのですが、それにはお役所の審査を通過することが絶対条件になります。
通過するためには、行政の首を縦にふらせるような、魅力的かつシンプルでわかりやすい見通しの良い事業計画案を作成しなければいけません。
計画策定段階で「現実的にこれは無理だろう、誰がやるんだ、、」と思っても、まずは交付金を受け取ることを第一なので、多少無理筋な箇所があったとしても目を瞑り、書類を仕上げなければならないんですね。
このような流れで、無事に地域活性化計画の書類が国に採択され、交付金をGet出来たとしても、実現まではイバラの道で大変に苦労します。
計画通りにいかずに頭を抱えてしまうのは、先ほども言った通り、誰がやるのかといった人的リソースが欠けていることと、お客さんの存在を蔑ろにしていることに帰結します。
最初から実現可能性が困難であることを理解していたとしても『お金が必要だから仕方ない』と、自身も周囲も納得させて前に進まなければならないことはわかりますが、大事なのは地域活性化の取り組みを成功させることです。
中途で頓挫してしまうのが目に見えているのならば、初めからやらない方がいい。
結局は商売をやろうとしているわけです。
地域に活力をもたらすというのは経済を回すことだと私は思います。
地のモノを使って商品を作るにしろ、地域の特性を活かしたサービスを展開するにしろ、いずれの場合もそれらを購入するお客さんの存在があります。
お客さんの存在を忘れて、先に商品・企画開発に着手し「よし!いいものが出来た!」となったところで、市場にニーズがなければ買ってもらえるわけがない。
各人が忙しい仕事の合間を縫って、地域のために頑張ったとしても、このような結果になれば心身ともに疲弊し、少しずつその情熱は冷めていくものです。
気付けばふりだしに戻っていて、また同じことで悩み続ける。。
地方創生がうまく機能しない、成功するのが難しいのは以上の理由からです。
予算ありきで国や行政を頼るのではなく、今の自分達に何ができるのか、誰がやるのか、お客さんは誰なのか、そういった商売の基本をしっかりと実行することが地方活性化のキモだと思います。